一度は登りたい最北の日本百名山・利尻山に登ってきました!
札幌在住のうちに利尻山に登りたいとずっと願っていたのですが、ついに実現することができました。利尻島まではバイクでツーリング、宿泊はキャンプ、そして登山という私にとっては趣味のフルコースです。
利尻山は大学生だった24年前に登ったのですがその時は6時間で往復しました。しかも自転車旅行で、登山当日は沓形エリアのキャンプ場から鴛泊の登山口まで片道約15kmを走ってからの登山。装備もウエストバックの中にペットボトルの水と食料を少しだけ。靴も安いフニャフニャのトレッキングシューズ。若いからできたことです。
それから登山経験は積んでいるものの40代でそんな無茶な登山はできません。コースタイムを目安に時間に余裕を持って、装備も行動食もしっかり整えて行きました。
登山初心者の方には少しきつい登山にはなりますが、しっかりと準備をすれば利尻山登頂は可能です。
*標高が低いとはいえ本格的な登山です。登山未経験者は登山経験のある方と登りましょう!
利尻山データ
鴛泊登山ルート(中級者向き)
- 利尻北麓野営場(スタート)
- 3合目・甘露泉水
- 4合目・野鳥の森
- 5合目・雷鳥の道標(北麓野営場からおよそ1時間20分、エゾマツ・トドマツの大木の森を歩きます)
- 6合目・第一見晴台(5合目からおよそ35分。展望が開けてきます。6合目を少し過ぎるとトイレブースあり)
- 7合目・胸突き八丁(6合目からおよそ35分。ここから先はジグザグルートが続きます)
- 8合目・長官山(1,218m)(7合目からおよそ1時間5分。長官山の手前のガレ場直前は心臓破りといわれる難所。トイレブースあり)
- 9合目(長官山からおよそ10分で避難小屋があり、トイレブースがあります。そこから35分で9合目)
- 利尻北峰(山頂1,719m。9合目からは1時間10分ほど。足場が悪く、またルート沿いに危険な崩落箇所があります)
鴛泊登山口(利尻北麓野営場)までのアクセス
◯徒歩の場合
フェリーターミナルから 3.6km 約60分
温泉バス停から 2.2km 約40分
*温泉バス停から先はバスがありません。
帰りはタクシーを呼ぶ登山者が多くいましたが、早朝は営業をしていないようです。
宿泊施設で送迎をしている場合もあります。
鴛泊の市街地から登山口まではずっと登りです。徒歩で利尻北麓野営場まで行きキャンプをする人は必要な食料や水、電池などを事前に市街地で揃えてから向かいましょう。一度キャンプ場に着いたら町まで戻る気にはならないと思います。
利尻島の日の出・日没時間の目安
気温は標高が100m上がるごとに0.6℃下がります。山頂は市街地に比べて大体10℃低いことになります。
また、利尻山は気候の変化が早く、登っている途中でも山頂の様子はどんどん変化して行きます。8合目あたりから急に風が強くなる時もあるので注意が必要です。
月日 | 日の出時間 | 日没時間 | 最低気温(℃) | 最高気温(℃) | 平均気温(℃) |
4月1日 | 5:15 | 18:00 | 0.7 | 7.6 | 4.4 |
5月1日 | 4:25 | 18:40 | 5.5 | 13.5 | 9.6 |
6月1日 | 3:50 | 19:15 | 9.9 | 17.5 | 13.7 |
7月1日 | 3:50 | 19:25 | 14.3 | 21.3 | 17.7 |
8月1日 | 4:20 | 19:00 | 16.5 | 23.1 | 19.8 |
9月1日 | 5:00 | 18:10 | 13.2 | 20.7 | 17.1 |
10月1日 | 5:30 | 17:15 | 7.1 | 14.1 | 10.9 |
登山の適期
7月からは花が多くみられます。夏休み期間は混雑します。天候が安定してたら9月の中旬ぐらいまでは適していると思います。(私は2021年9月18日に登りました)
装備
目まぐるしい気候の変化に合わせて防寒、防雨の装備はしっかりと。長時間の山行になるので水と食料も十分持って行きましょう。
今回の登山では若いグループや母子がスニーカーで登っているのを見かけました。たまたま天気が良かったからいいものの、雨ならば地面がぬかるみ水たまりもでき、岩場は滑るのでかなり危険です。靴の中まで濡れたら皮膚がふやけてマメや水膨れができてしまいます。
登山は装備の良し悪しが安全さを左右します(大袈裟にいえば生死を分けます)。たった1回の登山でも装備はしっかり整えましょう。
登山装備
ザック(25〜30リットル目安)
ウルトラライト(荷物を最小限に抑える)な装備で登山をする人もいますが、基本は25〜30リットルのザックが目安です。
登山靴
くるぶしまで覆われるハイカットシューズで防水機能のあるしっかりとした作りのもを。私はテント泊の縦走登山でも使っているザンバランのヴィオースプラスGTXを持って行きました。8合目を過ぎると足元も悪くなり、帰りはずっとくだりになるので靴が貧弱だと捻挫や転倒のリスクも高まります。
靴下は分厚いメリノウールのものを履いています。メリノウールは汗をよく吸収してくれて臭いも気になりません。分厚いほうが汗の吸収量が多いので靴の中が蒸れません。蒸れると皮膚が柔らかくなりマメや靴ずれの原因になります。
インソールも変えるとさらに安定感が増して歩きやすくなります。
登山初心者でこれから登山靴やザックなど揃える人はアウトドアショップで利尻山に登る、と言って適切なアドバイスを受けましょう。
ヘッドライト
未明から登山を開始する人も、そうではない人もヘッドライトは必須です。真っ暗な中でも十分な光量を確保できるヘッドライトを選びましょう。替えの乾電池も忘れずに持って行きましょう。
木々に囲まれた登山道は日がのぼってもしばらく暗く、日没よりも先に暗くなります。
ストック
足腰が強い方は不要ですが、不安がある方は持って行きましょう。登りで使わなくても下りでは助かります。自然を傷つけないマナーとして先端には必ずゴムキャップをつけましょう。
雨具
上下分かれているレインウエア(ゴアテックス製が理想)、雨用の手袋、ショートゲイター、ザックカバー。
レインウエアは寒い時にも使えます。8合目以降は気候の変化が激しいので素早く取り出せる場所にしまいましょう。また、途中、登山道に草木が繁っているところがあり朝露で草木が濡れていると身体に朝露がついてかなり濡れます。
雨用の帽子でハット(ツバが全体にあるタイプ)も便利ですが、風が強いと飛ばされそうになるのでキャップタイプがいいかもしれません。
防寒着
夏でも防寒着は持って行きましょう。私はモンベルのトレールアクションパーカを持って行きました。
基本のウエア
私はノースリーブアンダーウエア×長袖アンダーシャツ×半袖シャツの組み合わせです。登山では夏でも長袖が基本です。日焼けは疲労の原因になり、虫や草木から体を守るためには肌をなるべく露出させないことが必要です。
ミレーのメッシュアンダーウエアがおすすめ!
私は登山の時はミレーの「ドライナミックメッシュ」を着ています。
汗がベタつくことがなく、夏の登山でも冬の雪山登山でもシャツの中が快適です。
ズボンは長ズボンを履いていますが、スパッツとショートパンツの組み合わせでもいいと思います。
その他
登山地図、モバイルバッテリー、帽子、タオル、ティッシュ、エマージェンシーキット(頭痛薬、整腸薬、絆創膏、消毒液、虫刺され薬、ピンセット、爪切り、ハサミ、テーピング、エマージェンシーシートなど)、日焼け止め(私は登る前に塗ったので持って行きませんでしたが日焼けが気になる方は途中で重ね塗りしましょう)、ハイドレーション、ドリンクボトル、デジカメ、自撮り棒
🐻利尻島にはヒグマはいません
利尻島にはヒグマがいないので、熊除けの鈴はいらないですよ。
携帯トイレ
登山道の途中にあるトイレブースを使うために必要です。山行時間が長いので2つぐらいは持っていると安心です。
携帯トイレの販売場所
各宿泊施設、各商店、コンビニエンスストア、町役場、観光案内所、ファミリーキャンプ場ゆ~に、北麓野営場、森林公園キャンプ場
1セット 450円(携帯トイレケース・携帯トイレ)
携帯トイレの回収場所
鴛泊コース登山口(北麓野営場前)
行動食と水分
消費カロリーも水分量も同じ計算方法ですね。
私は体重75kg、荷物を5kg(荷物はもっと重いですが)として、行動時間が7時間ほどだったので
80kg×5×7時間=消費カロリーは2,800kcal、必要な水分量は2.8リットル
ということになります。かなりの量ですね。
必要な栄養素はエネルギー源になる糖質がメイン。大量に発汗するので塩分とビタミンも欲しいです。
ドリンクはメインは水。スポーツドリンクなど甘い飲み物は500mlぐらいあればいいと思います。
実際に持っていった行動食と水分量
フルーツグラノーラ(200g)、セブンイレブンのようかん2個、プロテインバー2個(1個あたりタンパク質20g)、山頂でのお楽しみ・アンパンが今回の行動食。これでおおよそのカロリーは1,800kcalです。1時間に1回は何か食べて、山頂ではアンパンとプロテインバーを食べましたが、グラノーラが少しとようかん2本、プロテインバー1個が残りました。
グラノーラはジップロックに入れてスプーンでボリボリ食べていましたが腹持ちが良かったです。ビタミンがたくさん入っているのがいいですね。糖質を取りたいので糖質オフではなく、脂質が少なめのものを選びました。
飲み物は水を1.5リットル、BCAAの粉末を溶かしたドリンクを500ml持って行きました。BCAAが疲労回復に役立ったような気がします。今回は水分を1.5リットルぐらい飲みました。夏の暑い時期だったら2リットルでも足りないかもしれません。
汗をかきやすい人や運動不足の人は多めに水を持って行きましょう。
食料や水は登りはじめは重いですが、どんどん胃袋におさまっていくので荷物は軽くなっていきます。
スマホアプリ「Yamap」
冒頭の登山地図がアプリの画面です。有料で使える機能もありますが、無料の範囲で十分な機能があります。
アプリを使えば自分の位置が把握できるのでとても便利です。
ただし、アプリの不具合で使えない場合やスマホのバッテリーがなくなった場合を想定してモバイルバッテリーや紙の地図は必ず持参しましょう。
私は4年目のiPhone xsで使用していますが7時間の登山でバッテリー残量は30%を切っていました。
登山の記録とポイント
【3:30】利尻北麓野営場を出発
前日は20時に寝たので朝は2時には目が覚めてしまいました。登山中にちょこちょこ栄養補給するので出発前の朝食は軽め。テントの中でバナナとパンを食べてプロテインを飲みました。
予定より30分ほど早く出発です。
日の出までまだ1時間30分以上。真っ暗な中ヘッドライトの灯りを頼りに出発
甘露泉水には10分ほどで到着しました。
【4:05】4合目到着
真っ暗で3合目の標識は見逃し、気付いたら4合目。
ここで1度目の小休止。BCAAとグラノーラで栄養補給。
予想していたより気温が高くパーカーを着る必要がなく、すでにほんのり汗をかいています。
まだまだ真っ暗なので慎重に先に進みます。
【4:40】5合目到着
まだまだ真っ暗。景色も見えません。森の中を進みます。傾斜もまだ緩やかなのでハイキング気分です。
【5:00】6合目到着
6合目まで来ると明るくなってきました。
視界も開けてきて海や鴛泊の港や街並みを見下ろすことができます。登山中に海が見えるっていいですね。
爽やかな朝で気持ちいいですが、空は雲で覆われていています。
この後晴れてくれたらいいけど…。
6合目から少し登っていくと1つ目のトイレブースがあります。
6.5合目ということになっています。
結局トイレブースは使わなかったのですが、参考までに中の様子を撮影しておきました。
【5:30】7合目到着
写真がありませんでした。標高895mです。傾斜がだんだんキツくなってきましたがまだまだこれからが本番なのであまり標高は稼げていないです。ここから先は「胸突き八丁」と言われている場所。いよいよ本番ですね!
【6:00】第2見晴台到着
途中までほんの少し雨が降ったり止んだり。でも空が見えていますからなんとか持ち堪えて欲しい!
標高はそれほど高くないですが高度感あります。
登山開始して2時間30分が経過しているので感覚的にはもうお昼なのですが、世間はまだまだ「早朝」です。
今から目が覚めようとしてる街を見下ろします。
【6:25】8合目到着
8合目に到達すると突然山頂が姿を現しました!
切り立った勇姿に身震いします。
あと数時間後にはあの頂に立ちます。
それまで天気よ、もってくれ!!
8合目から避難小屋までは一度下ります。
登山道が狭くて草木が張り出していて朝露がたっぷりついているので服がびしょびしょになります。天気が悪かったら雨具を着ないと体が冷えてしまいます。
今回は天気が良くて暖かったので歩いているうちに乾いてきました。(ゲイターだけはきました)
【6:45】避難小屋到着
朝露に濡れながら歩いていくと避難小屋に到着しました。
ここからが本番です!!
【7:07】9合目到着
少しずつ傾斜がキツくなってきたのでペースを一定に保って登ります。足で登るというより、骨盤を足の上に乗せていく感覚。
そうやって歩くと太ももの筋肉を温存できます。
綺麗なベンチがあるのでしっかり休息、栄養補給もします。
もう少しで山頂です。この尾根は沓形ルートの登山道。こちらのほうが上級者向きのようです。
このアングルではないですが、遠くには礼文島も見ることができます。
山頂直下。右の突き出た岩はローソク岩と呼ばれています。
最後の登りはかなり傾斜がきついです。
少しずつ山頂に雲がかかってきました。
【7:50】登頂!
ついに山頂に到着!雲がかかっていて東側は真っ白でしたが鴛泊〜沓形方面の景色を見ることができました。
山頂は少し風があって寒いです。でも、ゆっくり休めないほどではなく先に登頂した方は山頂のラーメンを満喫していました。私はもう歳なので胃もたれして登山中にラーメンは食べられません…。
私は山頂でセイコーマートのアンパンを満喫!
前の週は羊蹄山を登りましたが、その際も同じアンパンを食べていました。
後からきた若い登山者はコーヒー豆をミルで挽いてコーヒーを飲んでいました。
最高のコーヒーですね。
ラーメンを食べていた登山者と話をすると、神奈川在住らしいですが今はテレワークなので7月から3ヶ月間は札幌に滞在して仕事をしながら北海道の百名山を登って、この利尻山が最後の山だそうです。
今はそんなライフスタイルもあるんですね。
山頂から見下ろす沓形側の尾根。
山はすでに秋景色です。
20分ほど山頂を味わって下山します。
【11:05】甘露泉水
下りはストックを使い膝への負担を減らしながら歩きます。
距離が長いので休憩と栄養補給を挟み焦らず下ります。
行きは真っ暗で水の音しか聞こえませんでしたが緑の生い茂った甘露泉水まで降りてきました。
間も無くゴールです。
【11:10】利尻北麓野営場到着!
Yamapの登山記録です。
所要時間7時間42分
消費カロリーはなんと3,926kcal!!
当然推定値ですが頑張って歩きました。
コースの標準タイムよりは早く歩けたようです。
下山後は利尻富士温泉で汗を流し、サウナでしっかりととのって昼食を食べてからバイクで島内観光をしました。充実した1日を過ごしました!
登山の感想と注意点
最初に感じたこと「よく整備されていて歩きやすい!」
北海道の百名山は前週の羊蹄山のほか、旭岳、トムラウシ山、斜里岳、羅臼岳に登ってきましたが、利尻山の登山道が一番整備が行き届いていると感じました。
前週の羊蹄山と比較すると特に歩きやすさを感じました。傾斜が急なところは階段が作られていて休憩スポットも要所要所にあり、標識もしっかり整備されています。
下山後にサウナに入ったからなのか、2週連続の登山で歩き方やペース配分に慣れたからなのか、栄養補給がうまくいったからなのか、羊蹄山の時は下山後の疲労や脱水症状も強く翌日筋肉痛が酷かったのですが、今回は筋肉痛がなく翌日も元気に札幌までバイクを運転できました。
とはいえ標高差1,500mの登山は初心者には厳しいですし、天候が悪化したら登頂も難しい山なので油断せずに準備をする必要があります。
登山道が狭い箇所があるのですれ違いに注意
場所によっては登山道が狭くなっているので足跡が聞こえたら周りの状況を確認して、自分が下っていても待機場所を探す必要があります。時には少し戻って待機したほうが安全です。
9合目以降は岩場も出てきます
9合目を過ぎると本格的な岩場も出てくるので慎重に歩きましょう。ストックに慣れてない場合は無理にストックは使わないほうがよさそうです。天気が悪いと滑りそうな場所もあります。今回も少し湿っている場所は滑りました。登りでも下りでも転倒事故が多発しているようなので注意しましょう。
下山後の利尻富士温泉が最高でした!
利尻富士温泉は浴場も広くシャンプー、ボディソープ完備、休憩所も広いです。そしてサウナがあります!
サウナの温度は高めで水風呂は登山で疲れた足がジンジンするくらい冷たいです。露天風呂の脇に椅子があるので外気浴もしっかりできます。
サウナは血流を良くして、水風呂でアイシング効果があるので疲労物質を取り除くのにはとても効果的です。
ただし、登山後は大量の発汗で体の水が抜けているので十分に水分補給してからサウナに入りましょう。私は下山後に温泉で体重を測ったら2kgほど体重が落ちていました。
下山後の温泉入浴タイムを1時間ぐらいしっかり確保して、登山の疲れを癒しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。少しでも参考になることがあれば幸いです。
登山は天候によって難易度は全く変わってくるので悪天候の時は無理をせず引き返す勇気と判断力が必要です。準備もしっかりしましょう。
今回は運よく晴れていい登山ができました。
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